2024.9.15
相続登記の義務化などに伴い、被相続人が祖父母、曾祖父・曾祖母の代に当たる方の相続手続きを行うことも増えてきています。
しかしながら、何世代にもわたり放置されていた相続手続きは、非常に複雑で、適用される法律も、現在のものと異なるといったことも珍しくはありません。
代表的な例として、昔の法定相続分について、いくつか紹介しておきます。
①昭和22年5月2日までに被相続人が死亡した場合
戦前から続く旧民法が適用になります。旧民法は家督相続制度でした。
旧民法における「家」制度の下での相続です。家督相続では一人の家督相続人が、前戸主の一身に専属するものを除いて、前戸主に属する一切の権利義務を包括的に承継します。そのために原則として,法定家督相続人のみが前戸主の権利義務をすべて受け継ぎます。
※法定家督相続人になるのは,被相続人の戸籍にいた男子を優先し、その男子のうちでも年長者を優先順位者としました。子供に男子がいない場合は、女子が戸主となりました。
②昭和22年5月3日から昭和55年12月31日に被相続人が死亡した場合
下記の法定相続分が定められています。
相続人が子と配偶者の場合 子(全員で)2/3・配偶者1/3
相続人父母と配偶者の場合 父母(全員で)1/2・配偶者1/2
相続人兄弟姉妹と配偶者の場合 兄弟姉妹(全員で)1/3・配偶者2/3
③昭和56年1月1日以降に被相続人が死亡した場合
下記の法定相続分が定められています。
(昭和55年の民法改正(昭和56年1月1日施行)で、配偶者の相続分が引き上げられました。)
相続人が子と配偶者の場合 子(全員で)1/2・配偶者1/2
相続人父母と配偶者の場合 父母(全員で)1/3・配偶者2/3
相続人兄弟姉妹と配偶者の場合 兄弟姉妹(全員で)1/4・配偶者3/4
このように、被相続人がいつ亡くなったかで相続人も相続分も異なります。
ずっと昔に亡くなった人について相続手続きが未了の場合にはその亡くなったときの民法が適用になります。
このように複雑な相続手続きを行う場合は、一度、お近くの専門家にアドバイス求めたうえで、どのように相続手続きを行うべきかを検討することをお勧めします。
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