企業の会計では、経営状態や経営成績を把握するために、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」という5つの基本要素が用いられます。これらを理解することは、財務諸表を読み解くうえで非常に重要です。
まず資産とは、企業が保有する経済的価値のある財産や権利のことです。現金や預金、売掛金、商品、建物、土地、機械設備などが代表例です。資産は将来の事業活動に利用されることで利益を生み出す源泉となります。貸借対照表(B/S)の左側に表示され、企業がどのような財産を持っているかを示します。
次に負債とは、企業が将来支払いや返済をしなければならない義務です。買掛金や未払金、借入金、社債などが該当します。負債は他人から調達した資金ともいえ、期限が到来すれば返済が必要となります。貸借対照表では右側に表示され、企業がどれだけの債務を負っているかを表します。
純資産とは、資産から負債を差し引いた残りの部分を指します。計算式で表すと、
純資産 = 資産 − 負債
となります。純資産は株主が出資した資本金や、企業が過去の利益を蓄積した利益剰余金などで構成されます。返済義務がないため、企業の財務的な安定性を示す重要な指標です。純資産が大きいほど、一般的には経営基盤が強固であると考えられます。
一方、企業の一定期間の経営成績を表す要素として収益と費用があります。収益とは、企業が商品販売やサービス提供などの営業活動によって得た経済的利益の増加をいいます。例えば売上高や受取手数料、受取利息などが挙げられます。収益は企業活動の成果を示すものであり、損益計算書(P/L)に記載されます。
これに対して費用とは、収益を獲得するために発生した経済的価値の減少を指します。商品の仕入れ代金、人件費、家賃、水道光熱費、減価償却費などが代表的です。費用も損益計算書に記載され、企業活動に必要なコストを示します。
収益と費用の差額が利益です。計算式は次のとおりです。
利益 = 収益 − 費用
収益が費用を上回れば利益となり、反対に費用が収益を超えると損失となります。利益は最終的に純資産を増加させる要因となり、企業価値の向上につながります。
このように、資産・負債・純資産は企業の「財政状態」を示し、収益・費用は企業の「経営成績」を示します。これら5つの要素は相互に関連しており、企業の状況を総合的に理解するための基本的な会計概念となっています。会計や簿記を学ぶ際には、まずこの5要素の意味と関係性を正しく理解することが重要です。
⚽7月1日は、相続税や贈与税(以下「相続税等」といいます。)にとってとても大事な日です。国税庁が相続税等の計算の際に財産を評価する際に用いる基準である「財産評価基準」を公開する日です。中でも土地を評価する基準である「路線価」は相続税等の計算に大きな影響を与えるため、新聞報道もおこなわれ、世間の注目を集める指標となっています。
⚽路線価は、道路に1㎡当たりの単価が付されており、その道路に面する土地の評価を算出します。例えば、路線価が100,000円と付されている300㎡の土地の評価額は、30,000,000円となり、相続税等の計算をすることになります。🏘️
⚽路線価は、毎年7月に公表され、その年1年間、今日公開されたのは令和8年分路線価で、令和8年1月1日から令和8年12月31日の間に亡くなられた人の相続税の計算や贈与を受けた人の贈与税の計算に使用します。
⚽不動産の価格には、一物四価、五価といわれるほどいろいろな算定の基準があります。その中でも公的評価として代表的な指標をご紹介します。🗾
⚽土地の価格を表す言葉として「時価」という単語が使われます。時価(不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額)は、常時変動し、留まることはありません。(お寿司屋さんの時価、株式取引の相場と同様)一般の人には、土地の時価を調べたり、把握することは大変な作業となります。そのため、それぞれの目的に応じて上記の公的評価が公開されています。
⚽それぞれの価格の水準は、時価を【100】とすると、上記2及び3はほぼ【100】に近く時価と同様の水準といえます。上記1の路線価は【80】、上記4の固定資産税評価額は【70】の水準となっています。
給与所得は、給料、賃金、賞与、俸給や歳費など労働等の対価として支給される収入やこれらの性質を有する経済的利益などによる収入が該当します。
給与所得の性質を有する経済的利益には、給与等の支払者から提供を受ける下記のようなものがあります。
・自社商品等を無償または低額により購入したときの通常の販売代金との差額
・不動産や動産を無償または低額により使用したときの通常の使用料との差額
・金銭を無償または低金利により借受けたときの通常の利息との差額 など
給与所得の金額は、給与所得となる収入金額から所得税法に定める給与所得控除額を控除した金額となります。
給与所得となる収入金額ついては、毎月の支払ごとにあらかじめ所得税が差し引かれます。
これを源泉所得税といいます。
源泉所得税の金額は、毎月の給与総額から健康保険や介護保険、厚生年金保険、雇用保険などを差し引いた金額を、源泉徴収税額表に照らし合わせて概算計算されます。
この差し引かれた源泉所得税は、あくまでも概算計算による所得税となるため、年末調整により確定した所得税と精算されます。
その精算により差し引かれた源泉所得税が多い場合は差額が還付され、少ない場合は差額が12月分の給与から追加で差し引かれます。
また、給与収入が1か所のみの人は、年末調整により所得税が確定するため、確定申告をする必要はありません。
ただし、下記に該当する人は確定申告を行う必要があります。
・年間の給与収入が2,000万円を超える人
・2か所以上から給与収入がある人
・給与収入以外に収入がある人
・年の途中で退職された人
・医療費控除を受ける人
単式簿記と複式簿記は、いずれも企業や個人が取引を記録するための会計手法ですが、その記録方法や得られる情報の範囲に大きな違いがあります。
単式簿記は、主に現金の増減や収入・支出を一つの視点から記録する方法です。家計簿や小規模事業者の簡易な記帳に用いられることが多く、記録が比較的簡単である点が特徴です。例えば、現金が入った場合は「収入」、出ていった場合は「支出」として一方向に記録します。そのため、計算や記入の手間が少なく、会計知識があまりなくても扱いやすいという利点があります。しかし一方で、資産や負債の全体像や損益の正確な把握が難しく、経営状況を総合的に分析するには不十分であるという欠点もあります。
一方、複式簿記は、すべての取引を「借方」と「貸方」の二つの側面から記録する方法です。例えば、商品を現金で購入した場合には「商品(借方)」と「現金(貸方)」のように、必ず二つの勘定科目で記録します。この仕組みにより、資産・負債・純資産・収益・費用といった会計要素を体系的に把握することができます。また、貸借の合計が常に一致するため、記録の誤りを発見しやすいという利点もあります。その結果、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成でき、企業の経営状態や財務状況を客観的に分析することが可能になります。
ただし、複式簿記はルールが複雑であり、一定の会計知識が必要です。また、記録作業も単式簿記に比べて手間がかかるため、小規模な用途では負担になる場合もあります。
以上のように、単式簿記は簡便さに優れ、日常的な収支管理に適していますが、複式簿記はより詳細で正確な財務情報を提供し、企業経営や会計報告に不可欠な方法です。それぞれの特徴を理解し、目的や規模に応じて適切に使い分けることが重要です。
母の四十九日の法要も終わり少し落ち着いたある日の午後、三人の子供たちが母が愛用していた思い出の品(着物、ネックレス、指輪、本、時計、眼鏡、趣味の品物など・・・)を前に話をしています。
子供A 「私はお母さんの着物を貰うね」 子供B「私は何もいらないけど、お母さんの親友だった甲さんに何か母の思い出として差し上げたらどうかな」 子供C「私が亡くなったら、この指輪は従妹の乙さんにあげてね。とお母さんは言ってたな・・」 三人の子供たちの会話は、いわゆる【形見分け】の話し合いです。
形見分けとは、「亡くなった人の生前愛用していた品物を個人と親しかった人たちに分けて、その品物を通して故人を偲び思い出を受け継いでもらう」という慣習です。
子供A、B、C 「形見分けって、もらった人に贈与税とかかからないのかな? 税金はどうなるのだろう」
人が亡くなり相続が発生しますと、その瞬間に亡くなった人の全ての財産は、亡くなった方の相続人の共有状態になり、相続人のものとなります。(具体的にどの相続人がその財産を相続するかは後日の分割協議で決まります。)したがって形見分けを税金の面でお話すると、①相続人の間で行われたのであれば、遺産の分割として相続税の対象、 ②相続人以外の人へあげたのであれば、いったん相続財産として相続人が相続人が相続し、その後で相続人から「贈与」で貰ったことになり贈与税の対象となります。
上記の例でお話しますと、母が愛用していた思い出の品(着物、ネックレス、指輪、本、時計、眼鏡、趣味の品物など・・・)はすべて相続財産として相続税の対象となり、その後の相続人でない、甲さん、乙さんへの形見分けは、相続人からの贈与であり、贈与税の対象となります。
形見分けそのものを贈与税の非課税とする規定はどこにもありませんので、ご注意ください。「形見分けは、慣習として行われてきたから贈与税などかからないだろう」との考えは通じません。
青色申告特別控除の適用については、65万円、55万円、10万円の3種類の控除があります。
各控除額について、下記の要件を満たす必要があります。
1.65万円
① 複式簿記で記帳
② 貸借対照表と損益計算書を添付
③ 期限内に申告
④ e-Taxによる申告
2.55万円
① 複式簿記で記帳
② 貸借対照表と損益計算書を添付
③ 期限内に申告
④ 書面提出による申告
3.10万円
① 簡易な記帳
② 損益計算書を添付
③ なし
④ e-Taxもしくは書面提出による申告
65万円控除と55万円控除の異なる点は、e-Taxによる申告と書面提出による申告の点のみですので、e-Taxによる申告をお勧めします。
また、令和7年1月1日から書面による申告の場合、控書類への受付印の押印がなくなりましたので、申告済みの確認が出来るという点でもe-Taxによる申告をお勧めします。
事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業を営む人がその事業から発生する収入による所得が該当します。
林業(立竹木の伐採し譲渡する事業)による所得は、事業所得には含まれず、山林所得となります。
事業所得の金額は、「その事業を営むことにより生じた収入」から「その事業を営むためにかかった費用(必要経費)」を控除した金額となります。
事業所得となる収入には、生産物や製造物、商品の販売、サービスの提供による収入のほか、これらの収入に付随して生ずる空き箱や作業くずなどの売却、商品等について損害を受けた場合の保険金や損害賠償金なども含まれます。
また、生産物や製造物、商品を自身で消費した場合や贈与した場合も事業所得となる収入に含まれます。
この場合の収入となる金額は、原則的にその商品等の販売代金となります。
その事業を営むためにかかった必要経費には、販売したその商品等の仕入代金(売上原価)や従業員を雇用している場合の給与賃金、店舗等を賃借している場合の家賃や水道光熱費、その事業で使用する機械や車、備品等に係る減価償却費や維持費なども含まれます。
また、不動産所得と同様に青色申告の事業専従者給与もしくは白色申告の事業専従者控除、青色申告特別控除(10万円、55万円、65万円)の適用も受けられます。
会計の分野は、主に財務会計・管理会計・税務会計の三つに分類され、それぞれ異なる目的と役割を持ちながら企業活動を支えています。
まず、財務会計は、企業の経営成績や財政状態を外部の利害関係者に報告することを目的としています。株主や投資家、取引銀行、取引先などが主な利用者であり、貸借対照表や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書といった財務諸表を通じて情報が提供されます。財務会計は、企業会計原則や会計基準などのルールに基づいて作成されるため、客観性や比較可能性が重視され、企業間の業績比較や信用判断に役立てられます。
次に、管理会計は、企業内部の経営者や管理者が意思決定や経営管理を行うための会計です。具体的には、予算編成や予実管理、原価計算、部門別採算管理などが含まれ、経営戦略の立案や経営効率の向上を支援します。法令による厳格な制約はなく、企業の規模や業種、経営方針に応じて柔軟に設計できる点が特徴です。
最後に、税務会計は、法人税や所得税、消費税などの税金を正しく計算し、適切に申告・納付することを目的とした会計です。税法に基づいた処理が求められるため、財務会計とは計算方法が異なる場合もあります。適正な納税を行うと同時に、無駄な税負担を避けるための税務管理も重要な役割となります。
このように、三つの会計は目的は異なりますが相互に関連しており、企業経営を多方面から支える重要な基盤となっています。
不動産所得は、土地や建物の貸付け、借地権など不動産の上に存する権利の設定や貸付け、船舶や航空機の貸付けによる収入が該当します。
不動産所得の金額は、「その不動産などの貸付けによる収入」から「その収入を得るためにかかった費用(必要経費)」を控除した金額となります。
不動産所得となる収入とは、具体的に貸付けによる賃料収入、名義書換料、更新料、敷金や保証金などで返還を要しないもの、共益費などの名目で収受する水道光熱費や清掃代などの管理料、賃貸物件に設置した太陽光発電設備から得られた余剰電力の売却収入も含まれます。
また、土地の賃貸に際して借地権を設定する際に譲渡所得とならない場合の権利金等についても不動産所得となる収入となります。
不動産所得となる収入を得るためにかかった必要経費には、その賃貸物件に係る固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などがあります。
また、賃貸建物を建て替える際に借家人に支払う立退料も必要経費に含まれます。
不動産所得は、その不動産賃貸の規模により「事業としての不動産の貸付け(事業的規模)」と「事業と称するに至らない不動産の貸付け(事業的規模以外)」に区分されます。
この区分は、下記のいずれかの基準を満たしているかにより形式的に判断することができます。
1.アパートなどについて、賃貸できる独立した室数がおおむね10室以上であること。
2.独立した家屋については、おおむね5棟以上であること。
さらに、この区分の違いにより、不動産所得を計算する上で、下記のような違いがあります。
1.賃貸物件の取壊しや除却などの資産損失について、事業的規模の場合は全額必要経費となりますが、事業的規模以外の場合は資産損失の金額を控除する前の所得金額が必要経費となる上限金額となります。
2.賃料等の回収不能による貸倒損失について、事業的規模の場合は全額回収不能となった年分の必要経費となりますが、事業的規模以外の場合は、その回収不能となった賃料等が発生した年分まで遡って所得金額の計算を修正することになります。
3.青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除について、事業的規模の場合はその適用はありますが、事業的規模以外の場合はその適用がありません。
4.青色申告特別控除について、事業的規模の場合は55万円もしくは65万円の控除が可能ですが、事業的規模以外の場合は10万円となります。
このように不動産所得は、その規模によって受けられる特例などが制限されることになります。
会計は、企業や組織の経済活動を金額という共通の尺度で把握し、記録・整理・報告する体系であり、経済社会の円滑な運営に不可欠な役割を担っています。企業活動においては、原材料の購入や製品の販売、人件費の支払いといった日々の取引を会計として記録することで、利益や損失、資産や負債の状況が明確になります。これにより経営者は、経営成績や財政状態を客観的に把握し、投資や事業拡大、コスト削減などの合理的な意思決定を行うことができます。
また、会計情報は企業内部だけでなく、外部の利害関係者にとっても重要です。株主や投資家は財務諸表を通じて企業の収益性や安全性を評価し、投資判断を行います。金融機関は融資の可否を判断し、取引先や従業員にとっても企業の存続可能性を知る重要な手がかりとなります。このように、会計は情報の非対称性を縮小し、経済活動における信頼関係を支えています。
さらに、経済社会全体の視点から見ると、会計は市場の透明性と公正性を確保する機能を持っています。統一的な会計基準に基づく情報開示によって企業間の比較が可能となり、健全な競争が促進されます。加えて、国や地方自治体の会計は税金の使途や財政状況を明らかにし、国民に対する説明責任を果たす基盤となっています。近年では、環境や社会への影響を評価するサステナビリティ会計(※)も重視されており、会計は経済と社会の持続的な発展を支える役割を一層強めています。
(※)サステナビリティ会計
従来の財務会計では捉えきれなかった環境負荷や社会的インパクトを数値化し、企業の持続可能性を評価するための会計手法です。