アシスト合同事務所

スタッフブログ

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2021.8.13

遺言の強さ

先日に、お子様がおられないご家庭でご主人がお亡くなりになるという案件がありました。故人様にお子様がおられず、ご両親も他界されておられた場合は、基本的には故人様の兄弟姉妹が相続人となります。

(基本的にはという意味ですが、ご両親が他界されていてもその前の世代がご存命でしたら兄弟姉妹は相続人とならず、その前の世代の方が相続人となることもあるということです。故人様が若ければあり得るケースです。)

上記の故人様は兄弟姉妹が相続人となるケースだったのですが、疎遠な状態でした。相続人である奥様(配偶者は常に相続人!)も関わり合いを持ちたくないとのことでした。しかしながら、相続手続における権利の移動には、法定相続は別として、全ての相続人が関わる必要があります。そうすると奥様はご主人の兄弟姉妹と話し合いを持たなければなりません。

ただ、話を進めていく内に、走り書きのようなメモがあることが判明しました。ほぼ平仮名で、全財産を妻○○○○に相続させる。という文言と共に、日付、自署、押印という要件も備えており、立派な遺言書としての機能がありました。(形式的要件を備えているかは最終的に裁判所の判断を待つ必要がありますが肌感覚としてです。)遺言があり、相続人が兄弟姉妹の場合、彼らに絶対的な取り分が無いので、幾分かを奥様の取り分から渡す必要もありません。シンプルでかつ煩雑な相続関係を整理してくれる遺言書の強さに痺れます。

奥様はそのメモを遺言書として認識しておらず、当職が「メモのようなものでも」とお聞きしなければ、捨ててしまわれていました。その場合は、前述のように親しくもないご主人の兄弟姉妹と協議書を交わさなければいけなかったので、奥様は大変安堵しておられました。

相続業務に普段関わらない方の目線で業務を行っていくことが肝要であると改めて思い直すことになった案件でした。

 

 

 

 

 

苅野 洋年

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苅野 洋年